ワールドカップ敗色濃厚

皆様、ワールドカップご覧になっていますか!?

グループリーグでの敗退の可能性が濃厚(25日は、コロンビアはショボくてギリシャは強いかもしれんので、まだわかりませんが…笑)になってきたワールドカップ。いろいろな論評が出ておりますが、その中で、メディアも含めコマーシャリズムが日本のサッカーのイメージを実力以上に肥大化させてしまっていることの功罪(おもに"罪"の部分)を述べる論評が出ております。的を射ているんですが、これはプロリーグとして考えると難しい部分でもありますね。コマーシャリズムにはうまく乗っかっていかないと、プロリーグ自体が成立しなくなりますからね。

本田がACミランに入った。的はずれなファッション、そして実力不相応ながら、とりあえず派手に現地で会見をやった。ウチのカミさんなんか、心配を通り越して怒っていましたよ。「腐ってもミラン。本田が通用するわけがない。何がサムライだ。3ヵ月後には叩き切られているはずだ。なのに、誰がこんな茶番をさせているのか」と、途中で会見を見るのをやめてしまったぐらい怒っていました。ベルカンプファンのカミさんは真面目で、いつも本質的なことを見ようとする人なんですよ。何しろプロレスを観に行けば、ブラッド・レイガンズとビクトル・ザンギエフの試合に拍手を送るぐらいですから(笑)。私は、プロサッカーにはエンターテインメントとしての側面は重要ですから、あれはあれでいいと思うんです。超地味に、「まだ海のものとも山のものともわかりませんから…」って会見もせず入ったって、何も盛り上がらないし、商売としてはそれじゃいかんですよ。

だいたい日本にプロサッカーのリーグが出来るという記事が一般の雑誌に出たのは、私の記憶が間違っていなければ、1980年代後半の「週刊プレイボーイ」あたりですよ。その時はもちろんJリーグという名前も決まっていない頃でしたが、私は無謀なんじゃないかなあと思ったぐらいですから。まず、日本にホーム&アウェイという概念を定着させるのは難しいと思ったし、しょせん慣れ合いのようなリーグになってしまうんじゃないかと。取ってつけたようなことをやっても、北米リーグの二の舞いになるだろうなと、そんなふうにしか思えなかったんですよね。

でも、嬉しくもそんなネガティブな予想は裏切られて、とりあえずプロサッカーは定着してきましたよね。それは、メディアを含むコマーシャリズムが寄ってたかって2002年の日韓ワールドカップに向けてイケイケで作り上げたからこそですよ。やれリネカーだリトバルスキーだ、象の墓場リーグだとか揶揄されながら金を使い、Jリーグ発足時は「大丈夫かな、強引だな」と心配でしたが、そうやって力業で作り上げなければいつまで経っても出来なかったことなんですよね。そこにワールドカップの本大会出場国の枠が24→32に増えてアジア枠も拡大、日本の実力でもなんとか常連的に出れるようになったことがシンクロしたのが大きい。サッカーのプロリーグの場合、"世界で戦える"というイメージは必須ですから。ちなみに本大会出場枠は1978年までは16ヵ国(1930年と1950年を除く)、今の半分ですよ。1982〜1994年までは24ヵ国。32ヵ国になったのは、まさに日本が初めて出場できた1998年のフランス大会からです。FIFAは、日本のために枠を増やしたんじゃないかなあとさえ思いましたよ。そのことでワールドカップの競技レベルは落ちたんじゃないかと思うんですが、サッカーを競技レベルという尺度だけではなく、ワールドワイドなスポーツとして捉えれば好ましい面のほうが大きいのかもしれませんよね。

ただ、なんとかサッカーが定着しつつある状況下、これまで以上にレベルアップさせるには、いよいよもって本格的な土壌をつくっていかなければならないということでしょうね。サッカージャーナリズムも含めて。

Jリーグ発足年、ドーハの悲劇がありました。あの時は、何たる悲劇だろうと多くの人が思った。テレビ東京のスタジオの、お通夜みたいな情景。空虚感。しかし今振り返って考えてみれば、悲劇というよりも、あれは必然的にそうなったんだと思えるわけですね。むしろ、最後のイラク戦なんかは、あからさまに日本びいきのジャッジで、よくあそこまで行けたもんだよと。そう思える人が増えてきたのは、日本のサッカーが着実に進歩しているからだと思うんです。

日本代表ファンはいても、サッカーファンは果たしてどれぐらいいるのか?と考えると、いかにこの国のサッカーはコマーシャリズムが引っ張ってきたことか、現実を突きつけられる気分になりますが、これからもう一度、国内リーグの強化と、レベルの高い国と真剣勝負が出来る場を、コマーシャリズムが一体となって作って行かなければならないです。

今回のワールドカップを、そのチャンスというか契機に出来れば、たとえグループリーグで敗退したとしても日本にとって価値のある大会になりますね。

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