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東京一極集中型のエンタメ業界に風穴をあけた「クリエイティブオフィスキュー」とは?
かけ出し芸能記者マチ子
「株式会社クリエイティブオフィスキュー」は、北海道札幌市に本拠を置く、芸能事務所。そして、このオフィスキューに所属しているのが、北海道のスターから、全国区の俳優タレントへと羽ばたいた、大泉洋を含む「TEAM NACS」のメンバーである。大泉は現在も、拠点は東京に移したものの、北海道ではいまだに3本のバラエティ番組を持ちながらも、ドラマ、映画にと活躍している。
 ローカルタレントがブレイクした場合、全国区の知名度を求めて、東京の大手事務所に移籍するケースが多いが、「TEAM NACS」の場合、ローカル事務所に所属したままで、全国区の活動をし続けている珍しいケースである。
このオフィスキューを立ち上げたのは、現在は取締役会長を務める鈴井貴之さん(ちなみに、事務所開設にかかる費用一切合切を支払ったのは、妻の亜由美さんだ)。学生時代に演劇と出会い、その後自ら劇団を立ち上げたのち、当時小規模開催が当たり前だった札幌演劇界の中、地元の700人収容の大ホールで公演するなど「1000人の客を集められる男」として演劇界にその名を知られた人物である。その後、役者が芝居にできる環境を作るためにこのオフィスキューを設立した。そして出演・企画・構成をした番組『水曜どうでしょう』が北海道以外でもその内容が話題となり、テレビ朝日系列局で放送され、DVDでも記録的なヒットとなり、今なお根強いファンが多い。
『水曜どうでしょう』のブレイクを受け、また30歳を迎えるにあたり、本格的に役者にシフトしていくために東京の仕事をすることになった大泉洋。とはいえ、東京で役者の仕事を…といっても、東京に拠点がないため、大手芸能事務所「アミューズ」と業務提携を結ぶこととなった。その後、ドラマ、映画、舞台、バラエティと幅広く活躍しているのはごらんのとおりである。
東京一極集中型のエンターテインメント業界に風穴をあけ、地方に目を向ける大手芸能プロダクションンも増えるきっかけを作ったオフィスキュー。キャスティング力、育成力など、事務所の強みは千差万別だが、このオフィスキューに限れば、所属タレントとの信頼関係をしっかりと築いていること、そして現状に満足せず、次に見たくなるものを常に先回りして企画するというエンタメ界には欠かせない、クリエイティブ性に秀でているのではないだろうか。これから、北海道で、全国で、あるいは世界でと、場所や既成概念にとらわれずどんな作品が生まれるのか楽しみだ。
2014/12/16


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