<<ほぼ日替わりコラム>>

『ネプチューン』ホリケンの見せた意外な素顔と、バカリズムのこれから。
芸人情報ツウ会社員 佐藤
若手芸人のメジャーへの唯一のトビラとも言われた『M1グランプリ』が終わり、最近パッとした大会が無いお笑い界の賞レース。その中で唯一高いレベルを保っているのが先日行われた、『IPPONグランプリ』だ。企画は芸人界では既に神に等しい存在、ダウンタウンの松本。内容は“大喜利”で、写真やカルタなど多様なお題目に対して、売れっこ芸人たちが彼ららしい、ちょっとニヤリとするような回答をして得点を競うというものだ。審査員は出場者同士。ガチな真剣勝負が繰り広げられる「笑点」と言えば分かりやすいかもしれない。
 ちなみに今年度は、それぞれ本命候補と目されていた、有吉弘行とバカリズムが決勝でぶつかり、有吉弘行が昨年に続いて王者に輝いたのだが。この大会で私が注目したのは、『ネプチューン』の堀内健の存在感だ。
 彼は『IPPONグランプリ』の第四回優勝者で、この大会の常連出場者だ。まだ最初の頃はあのトンデモキャラ通り、珍回答や奇妙なイラストで回答をしていたのだが、何度も出場を重ねるにつれ、練りに練られた名回答が瞬時に飛び出すようになって来た。特に今大会ではもう、いつもの「ホリケン」の持つ、天然風のキャラクターは影を潜め、いっそ“狡猾”と言ってもいい、長く芸能界でしのぎを削った芸人だけが持つ、自信に満ちたオーラと存在感を放っていた。
『ネプチューン』では、俳優業に邁進する原田泰造、さらに司会者としての腕を持つ名倉潤に隠れ、どちらかというと存在感が薄い印象だったのだが。彼らとのバランスを計算し、何十年もピエロを演じて来たのだとしたら…。今の『ネプチューン』の成功の真の立役者は、ホリケンだったと言えるのかもしれない。
 また惜しくも優勝を逃したバカリズムだが、最近は竹野内豊主演の「素敵な選taxi」の脚本を手がけるなど、芸人以外としての活躍を見せ始めている。これはごく私的な意見なのだが、バカリズムにはこのように、脚本、または演出家、放送作家など、裏方の仕事のほうが実は向いているのではないだろうか。なぜなら『IPPONグランプリ』に出演している彼は毎回あまりに緊張感を漲らせ、その緊張がテレビ画面を通していてさえ、十二分に伝わってくるからだ。おそらく、手や膝に震えが走るほどだろう。その緊張が思考をこわばらせ、彼の持ち味である、マニアックな笑いやブラッキューモアに、イマひとつキレを与えないのだ。
 バカリズムファンには申し訳ないが、今後もあの度を越した緊張感が継続する限り、優勝は難しいのではないか。それでももし挑戦し続けるのなら…まずは専門機関で、この極度の緊張をほぐすなんらかの方法を見つけ出すところからスタートするべきかもしれない。
2014/12/22


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