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アンタッチャブルに立ち向かう、フジテレビの勇気の源とは!?
芸人情報ツウ会社員 佐藤
私はあまりフジテレビを好きではないのだが、今回は本当に「よくぞ言った」と拍手を送りたい。一体何の話か。あの話題の作曲家、佐村河内氏を風刺したお題を出した『IPPONグランプリ』について、ご本人がBPOに申し立てた1件だ。
事件を簡単に説明すると、去年5月に放送された『IPPONグランプリ』という大喜利番組で、“幻想音楽家 田村河内さんの隠し事を教えてください"というお題が出た。これに対し参加者から、「聞こえる、聞こえないはともかく、耳が性感帯」「ピアノの鍵盤にドレミファソラシドと書いてある」「持っているCDはベストばかり」など、かなりキワドイ解答が出揃ったのだ。
私もリアルタイムで見ていたのだが、確かに“ここまで言って大丈夫か"という不安がチラリとよぎった。しかし同時に、ギリギリ放送できる回答を次々に生み出す芸人たちのウマさに舌を巻いた覚えがある。
だが案の定その内容は、ご本人には受け入れ難いものだったようだ。佐村河内氏は、『イチ一般人にすぎない佐村河内氏の身体的特徴や音楽的才能を揶揄、侮辱している』として、BPOに申し立てを行ったという。やれやれやはり、シャレの通じない相手だったらしい。
がしかし、これに対してフジテレビは、「回答者の知的な発想力を求める大喜利というコーナーで、出題自体が申立人を侮辱することなどあり得ない」「独自の装いを演出し、自らの楽曲として公表しながら、実際には第三者の創作による部分が極めて大きいものであったことが社会的に批判されることはやむを得ない。表現行為として許容されるべきだ」とキッパリと反論を行ったのだ。
通常今回のように、センシティブでアンタッチャブルな問題を含む申立てがあった場合、往々にしてマスコミ業界には、「とりあえず謝罪して、上層部は知らなかったことに」といった風潮があったのではないか。波風立てず、ただ忘れ去られるのを待っていたと言ってもいい。だがそうせず、スタッフや出演者たちを守ったフジテレビの姿勢と勇気、私は高く評価したい。
そして、このフジテレビの凛とした姿勢には、少なからず、番組チェアマンとして出演していたダウンタウン・松本の意向が大きく関わっているのではないかと思っている。松本は、大晦日恒例特番『絶対に笑ってはいけないシリーズ』の内容がBPOの審議対象になった際、「規制は必要だが、怒られながらやっていくしかない。サービス精神から、あえてハミ出さないといけないこともある。ギリギリのところでどうがんばるかだ」とコメントしている。この退路を絶った潔い姿勢が、フジテレビにも響き、今回のような毅然とした行動に結びついたのではないか-。だとすれば2015年のお笑い界は、まだまだ期待できそうだ。
2015/1/21


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