<<ほぼ日替わりコラム>>

彗星のように現れたコント職人に期待!
芸人情報ツウ会社員 佐藤
 マンネリの風が吹き荒れるお笑い界の中で、最近『シソンヌ』が際立って面白い。まだご存知ない方も多いかもしれない。昨年、かつてないほど激戦となった『キングオブコント2014』で見事優勝を果たし、コント職人として一躍注目を集めている若手コンビである。二人は共に東京NSC11期生の吉本所属。同期には『笑っていいとも!』などで早くから活躍していた『パンサー』や江戸はるみがいる一方で、結成から9年たってやっと日の目を見た苦労人だ。二人ともメガネで、あまりパッとしないビジュアルなのだが、そんな二人が築くコントの内容はとかくユニーク。例えば、“終電を逃がして、たまたま泊まりに行った友達の家になぜかたくさん蛇が出る”など、『フットボールアワー』の創世記を思わせる、ありそうでない独特の世界観作りがうまい。『爆笑問題』の太田光が彼らのコントを見て「こんなことお前ら思いつかないでしょう?!一体こいつらの頭の中はどうなってるんだ」とほかのベテラン芸人たちに語りかけていたと言えば、そのすごさが少しは伝わるだろうか。
ネタを考えているのは、ちょっと細めのメガネのほう、じろうだ。じろうは『シティボーイズ』を目標にこの世界を志したというだけあって、演技力もかなり高く、かなり無理めな設定のコントも、彼の演技力により「こんなことあるかも…」と引き込まれてしまう。ネタ合わせ中に、相方の長谷川忍がその演技にダメだしされることもしばしばだというのも深く頷ける。これからが本当に楽しみな逸材だ。
とはいえ大きな賞で優勝を果たしても、なかなか新人芸人がレギュラーを獲得するのが難しい昨今のお笑い界。『M-1』の最終回でやっとのことで優勝を果たした『笑い飯』でさえ、テレビで見かける回数は少ない。巨匠・北野武が最近東スポで「お笑いブームは完全に終わった。あと10年はお笑いブームはやって来ないから、若手芸人はライブハウスで営業の数をこなして、ちょこちょこ食いつないで行くしかない」という趣旨の発言をしていたが、本当にそうなのだろう。
もちろんシソンヌもまだまだテレビ番組で見られる機会は少ない。ただその魅力的なネタに惹かれ、ライブを訪れるベテラン芸人も多いというから、彼らの引き合いで、少しずつ活躍の場を広げてなんとか生き残って欲しいものだ。あれほどの演技力があるのだから、『古畑任三郎』の刑事役で大ブレイクを果たした『キリギリス』の石井正則のように、俳優業で稼いで時を待つのもひとつの手かもしれない。
2015/2/17


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