<<ほぼ日替わりコラム>>

さようなら、川島なお美!
アイドルおたくライター小林
劇やせ報道や体調不良による舞台降板で、「えっ!?大丈夫なの?」と思ってまもなく、54歳という若さでこの世を去ってしまった川島なお美さん。私が彼女の存在を始めて知ったのは、多くの方がそうだったように、1980年代にオンエアーされていたバラエティ番組「お笑いマンガ道場」だったわね。富永一朗とか車だん吉とかオジサンたちの中での(おそらく)紅一点。プロ顔負けの漫画のうまさと、芸人顔負けのネタの巧みさを披露していて、それをきっかけに注目されて彼女の人気が全国区へと高まったのよね。
ちなみに、同じく今年春に亡くなったキンキンこと愛川欽也と共演していた、土曜ワイド劇場のドラマ「美人●●殺し」シリーズで、キンキンが演じていた考古学者・相田博士の助手役も強く印象に残っているわ。彼女の何気ない一言がトリック解明のヒントになっていたのよね。毎回、黒沢年雄が演じる警部に再会する時の「須田ちゃ〜ん」っていうセリフも覚えているわ。
 しばらくは、過去のアイドルやバラエティ、キャンパスクイーン時代としての印象からうまく脱皮できず、役柄が制限されるなど不遇の時代が続いてしまったけど、私、個人的には、大胆な濡れ場に挑戦した「失楽園」より、テレビ朝日系ドラマ「イグアナの娘」への出演が彼女の女優としての評価を高めたのではないかと思っているの。
このドラマでは娘である菅野美穂の顔がイグアナに見えてしまい、愛しているのに愛せない苦しい役どころを繊細な演技で見せてくれたわ。奇抜なストーリーにもかかわらず、最終回に涙した人も少なくなかったハズよ。“川島なお美”を思わせず、母親の苦しい気持ちを感じることができたもの。
こんなことを言っちゃ失礼だけど、彼女って天性の女優としての才能はあまりなかったと思うの。元々の演技はそれほど上手じゃないし、棒演技でもヨシとされるほど主役級の存在でもないし、役に乗り切るっていうカメレオン型でもないし、大竹しのぶのような劇場型でもないし。
でも彼女は、世間からの自分の評価は冷静に受け止めていたと思うの。だからこそ、「失楽園」の台本はボロボロになるまで読み尽くしたというエピソードに表されるように、努力を重ねたんじゃないかしら。
彼女の死後、彼女の“女優”としての評価が高まっていることに違和感がある人も少なくないとは思う。…けど、私は努力に努力を重ねるストイック型女優として、記憶に残しておきたいと思う。
2015/10/9


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